個人からの借金にも時効はあるのか
1 個人からの借金の時効は5年~10年
個人から借りたお金の時効は、現在の民法では5年とされています。
令和2年4月1日に民法が改正される前は、時効は10年とされています。
5年と10年の時効の違いは、借りた時期が令和2年4月1日より前であれば10年、令和2年4月1日より後であれば5年となります。
なお、裁判などで判決が出たり和解をしたりした場合は、借りた時期にかかわらず、時効は一律に10年になります。
2 時効の開始時期は、返済期限から
時効の5年間のスタート地点(「起算点」ともいいます。)は、「権利を行使することができることを知った時から」になります。
つまり、返済期限を決めていたときは、返済期限が来てから5年間経たないと時効になりません。
例えば、2020年1月に「今度の冬のボーナス(2020年12月)が出たら返す」という約束で借りていた場合、時効は、2020年12月から5年後の2025年12月になります。
特段、期限を決めていないケースもあるかと思いますが、その場合は借りたときから5年と考えて大丈夫です。
3 時効の中断に注意
借金が時効で消えるのは、5~10年の間、一切返済も督促などもない場合になります。
例えば、借金の毎月2000円ずつ支払っていた場合などは、最後に支払ったときから5年経つ必要があります。
また、既に時効になっている借金について「いつか余裕ができたら返す」など、返済の約束をしてしまった場合には、せっかく時効になっていても時効の援用ができなくなってしまい、さらに5~10年待つ必要があります。
4 時効になっていても払うこと自体は問題ない
時効が完成している場合でも、支払う側が時効の援用を行い、時効の主張をしない限りは、当然には時効にはなりません。
そのため、時効が成立している借金について、あえて支払う分には特に問題はありません。
特に個人間の場合は、法律上は時効で消滅していると言っても、払わないと人間関係に問題がでてしまうという意味で、貸金業者の時効とは違うかもしれません。