時効を援用する方法
1 時効の援用とは
借金は、5年や10年といった期間が経つと、消滅時効により支払わなくて良くなります。
もっとも、日本の民法では、時間が経つだけでは、自動的に借金はなくならず、時効の援用という手続きをする必要があります。
時効の援用をしないまま放置しておくと、最悪の場合、裁判手続に進み預金や給料の差押等が行われることもあります。
民法第145条
時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
2 時効を援用する方法
時効の援用をする方法については、法律には定めがありません。
時効の援用は、法律上は、「時効を援用する」旨の意思表示を相手方にすることで足りるとされています。
つまり、法律上は、貸金業者に電話をかけて「時効の援用をします」と言えばいいということになるのですが、実際にはそれでは後で言った言わないということになる可能性もあり、不十分です。
そこで、弁護士が時効の援用を行う場合には、実務上は、内容証明郵便を送ります。
内容証明郵便であれば、送った日付や送った内容まで全て証拠に残るため、あとで裁判になっても時効の援用を主張できます。
また、訴訟が起こされている場合は、裁判所に提出する答弁書や準備書面などの書類の中で時効援用の意思表示をすることもあります。
3 時効の援用の流れ
時効の援用は、先ほどご説明したように、まず内容証明を送ります。
時効の更新事由があるなど、貸金業者側に時効が成立しないことを裏付ける証拠などがある場合は、反論が出てきます。
一方で、反論がない場合は、時効が成立しているということになるので、貸金業者側に依頼して借金がないことを確定させる手続きをしてもらいます。
具体的には、貸金業者側の内部処理と信用情報の削除になります。
場合によっては完成証明など、借金が消滅した証拠を発行してもらえることもあります。
これらの手続きは、1か月程度で終わることが多いです。