根抵当権の時効
1 根抵当権とは
⑴ 抵当権とは
根抵当権とは、抵当権の一種です。
抵当権とは、ざっくり言えば、借金が払えなくなった場合に、担保にしている物件を売却して借金を回収できる権利です。
一番わかりやすい例が、自宅を購入するときに、土地と建物を担保に住宅ローンを借り入れる場合です。
住宅ローンが支払えなくなると、自宅が裁判所で競売され、強制的に売却になってしまいます。
⑵ 根抵当権と住宅ローンとの違い
根抵当権と住宅ローンとの最大の違いは、返済しなければいけない借金の金額が決まっていないことです。
住宅ローンなどで利用する一般的な抵当権であれば、住宅を買うために5000万円を借り入れたら、5000万円と利息を返しきればよいことになり、住宅ローンの返済をしていけば借金は減っていきます。
根抵当権は、ビジネスで用いられることが多いですが、毎月単位で商品を仕入れて売却し、その都度ごとに返済をしていく、継続的な取引に利用されます。
このような根抵当権においては、返済しなければいけない借金は、毎月発生していく商品の仕入れ代金ということになります。
つまり、住宅ローンの場合と異なり、返済しなければいけない借金が常に増えたり減ったりして変動することが根抵当権の特徴です。
住宅ローンも、支払が滞ると利息で増加はしますが、それもあくまで契約時に決めた利息や遅延損害金の範囲内で、予測できない増額はありません。
根抵当権には、極度額と言って、返済しなければいけない限度額が決められています。
2 根抵当権の時効
借金の請求権(債権)と抵当権は、法律上は別々の権利であるため、借金の5年~10年といった時効とは別に抵当権の時効として20年という時効があります。(民法166条2項)
抵当権の時効は、基本的には担保している借金と同時に時効になることが多いです。
住宅ローンで言えば、住宅ローンの支払義務が時効により消滅すると、同時に時効により消滅します。(抵当権の付従性)
また、住宅ローンの支払義務が時効で消滅しない限り、抵当権だけが時効で消滅することはありません。(民法396条)
そのため、根抵当権については、継続的な取引が続いていて借金の支払義務が確定しない間は消滅時効にはならないので、少なくとも取引が終わってから5年といった期間は消滅しません。
例外的なケースとして、根抵当権の存在を全く知らない人が20年間、根抵当権が設定されている土地や建物を担保に入っていると知らずに使用(占有し続けた)場合は、取引が続いていても根抵当権だけが消滅するという可能性は存在します。
その場合は、借金の滞納があっても、土地や建物が競売で強制的に売却されることはなくなります。